伊豆ふるさと村,自然食養学会,食養懇話会,

   

     



 昭和六年、
成田市で出生、私立成田中、高を卒業。千葉大学医学部中退。千葉県公立小学校教員を経、文学修行を志して上京。生きるに容易ならざる昭和二十年代、三畳三千円の家賃より安上がりの一泊60円の山谷暮らしも体験。職業の転変おびただしく、とても書き切れませんが、主なものを挙げると日雇い人夫、町工場の組立工、経理事務、セールスマン(外車・化粧品・証券・不動産等)、キャバレー支配人、大手の人事課、デパートの広報課、興信所の草稿整書部、宗派の管長秘書、雑誌の契約カメラマン、ラジオ、テレビの台本作家……などが文学好きの地方から都会へ出てきた若者が辿った二十年の遍歴です。
 
さて四十歳(不惑)にして惑わずの折りには十歳を頭に三人の子の父親になっていました。この業は辞めるわけにはいきませんで、「人生五十年」の籤言が人一倍強く摺りこまれていた私は「残りあと十年」の脅迫観念に迫られました。
 死ぬ前に生きた証を己れに説明できるぐらいのことはしたいものと真剣に考えました。
 郷土を出た折から一貫して離さなかった思念、それは医療と教育への思いでした。初めて出会った学問の壁がメスと薬剤による局所、部分を対象とする西洋医学の限界でしたし、初めて社会との接点をなした教師経験が、体制内で行われる画一教育への疑問でした。
 どちらも若かった私に大きな挫折感を与え、同時に放置できない課題として私の中に住み着き、対処、解明の要を訴え続けました。
 昭和五十年三月、JR
水道橋駅近くの「山京ビル・20」の五階フロアすべてを借り受け、家庭教育、生活指導最優先を謳う私塾・伸英学園を創設します。
 独自の教育方針に賛同し、毎月定例の保護者勉強会に参加することを入塾の条件としました。人間を創る最良の師が親であり、その場は家庭であることを訴え、正しい食事による家族の健康がその前提となることの理解を求めるのが勉強会の主旨でした。
 進学一点張りの世相の中、食養によって家族の健康を守り、家庭教育を最重要視する特殊な塾経営が評判を呼び、首都圏の
朝霞市新座市富士見市等への教室増設が要請されてこれを果たします。併行して学校PTA、幼稚園母の会、青年会議所、婦人団体、文化クラブ、自衛隊、ロータリークラブなど各方面から講演依頼が続き、「家庭教育論・親が変われば子が変わる」と「食養論・食は命」のいずれかのタイトルで前後数十回におよびます。
 また、
朝霞市新座市志木市富士見市の合計36万人口都市に配布される広報紙、市民新報に五年間に亘って「教育実践論」の執筆依頼があり、これを果たします。この内容に着目した熊谷市の団体、文化アカデミーの代表等が広報紙の編集部を訪ね、単行本に編集出版の希望申出でがあって、これが「親が子をだめにする」のタイトルで刊行されました。(余談ながら五千部がすぐなくなり、いまだに私へ照会の問い合わせがあります。)
 塾経営のかたわら、保護者の勉強会を通じて食品の農薬、化学添加物による汚染度が日増しに悪化する状況が解明されますと、自治体や国の行政には絶望するのみで、危機を克服するには自らの手で自己防衛に徹するほかないことを思い知ります。
 昭和六十年、伸英学園創立十周年を期して、食糧の完全自給を目的に伊豆半島、西伊豆、松崎町の山中に「ふるさと村」の建設を目ざします。同六十一年山庵が仕上がり、塾の経営と授業を受け持つかたわら日曜、休日を深夜 便で伊豆へ走り、伐採、開墾、稲作に励み順次塾の児童生徒の合宿研修所として生活指導の実践の場に供します。
 初年度から米の自給をなし、続いて味噌、醤油、柿酢、納豆、豆腐、こんにゃく、アルコール飲料等、食用油を除いて完全自給を三年にして達成しました。
 責任者不在の塾の運営は不可能で、一年後塾閉鎖の予告で関係者の承認を得た後、創立十五年を経た平成二年閉鎖し、私はふるさと村に定住することになります。
 以後二年間に延べ約450名の知人、友人、初見の見学者等が訪れ、食養の研修、滞在による療養、自給品の頒布などを目的とした村民登録による会員制が発足します。
 
現代医療の場では、治癒が絶望に近いガン疾、アトピー、リュウマチ、腎炎、肝硬変などで悩む多くの方が来訪滞在して食養に徹し百%に近い快癒率を挙げました。
 二年後の平成六年、食と血液と生命の本質を追求し、片や欧米型栄養学の過誤、汚染食品が及ぼす疾病、食養と疾病治療の実際などについて啓蒙、学習、研究等を目的とする自然食養学会を設立しました。広告、宣伝、PRとは無縁で十年経過の現在、すべては体験者の紹介、またはくちこみだけで広く各地から難病を抱えた方が訪ねてこられ、食養滞在は二組に限られていますので、予約待ちの状況にあります。
 過去の経験、実績に鑑み、今後許される余生の時間にメス、薬剤、化学(物理)療法と無縁な、本物の水、空気、人間関係、食の優れた環境の設営で病気を絶つ機構の普及と後継者の育成に惜しみなく力を注ぎたいと念願しています。
 

   
   

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